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ベト株ニュース - 証券全般

無償増資の罠

[2007/07/31 JST更新]

 以前のVNインデックスの下落とは異なり、今回の下落では多くのブルーチップ銘柄はポジションを維持できず、株価は長い間に大幅下落した。この6ヶ月で株価が40万ドンに上る銘柄も初めて姿を消した。ビンディン鉱産(BMC)、FPT、総合フォワーディング・ジェマデプト(GMD)、リー冷蔵電気(REE)、サコム通信ケーブル(SAM)、サイゴンフィッシングネット(SFN)、サイゴン商信銀行(STB)、ヴィンソン-ソンヒン水力発電(VSH)などが下落したのみでなく、長い間抵抗していたDHG(ハウザン製薬)、TAC(トゥオンアン植物油)、NKD(ノースキンド食品)、SJS(ソンダ工業団地)なども大幅下落を見せた。
 しかし、全てのブルーチップの上半期の業績はかなり良いものだったということは指摘できる。FPTとSTBは5,000億ドン以上の利益を出した。REE、SAM、GMD、DHGなどの利益は1,000億ドンに上り、前年同期比で増加した。
 しかし、この好材料も株価を引き上げることができなかった。市場全体の下落の影響の他に、大量の株式が無償増資で発行されたこと、一方、大口株主が最近ブルーチップ銘柄の株式を大量に売却したことが株価に悪い影響を与えたからだと多くの証券アナリストはコメントしている。
 証券アナリストであるダン・ゴック・タン氏は、IPO(新規株式公開)で発行された株式を消化し切っていないにも関わらず、更に新規発行される数億株を受け取らなければならないというのでは、消化不良を起こさないというのが珍しいだろうとコメントした。FPTは3,000万株、VNMが800万株以上、REEが500万株弱を新規発行した。
 ある証券会社の社長は、多くの投資家は新株を受け取って喜んでいるが、彼らはそれがただ薄まって水っぽくなっているお酒と同じ(株式の希薄化)だとわからないのだ、と指摘した。同社長はSTB銘柄についての例を出した。STB銘柄の株式配当(配当12%)と1対1による有償増資(株価は1万5,000ドン)の権利落ち日は6月7日であった。STB銘柄の6月6日の終値は14万4,000ドン/株であった。権利落ち日(6月7日)に STB銘柄の株価は7万5,000ドンに調整された(=(14万4,000ドン+1万5,000ドン)/2.12株)。
 6月6日にSTB銘柄の 1,000株を14万4,000ドン/株の価格で買った人は将来1,500万ドンを追加支払し、2,120株を手に入れることができる(支払総額:14万4,000ドン*1,000+1,500万ドン=1億5,900万ドン)。しかし、株価が7万5,000ドンに調整された後、1,120新株を手に入れて取引可能となるまで3ヶ月ほど待たなければならない。一方、他の投資家は同じ銘柄をSTBの株主が権利落ち日前に喜んで買っていた価格より低い価格で、6月末若しくは7月初めには簡単に買うことができたのだ。
 これまでの希薄化を心配するばかりでなく、投資家の多くは、今後上場する企業が最も有効な資本調達方法や配当支払方法として、無償増資を続けて行っていくことに不安を隠さない。
 ある大手企業の社長は新株発行による増資は銀行からの借入よりも数倍有利になると語っている。
 大きな利益を上げていれば入るほど、新株発行した場合の株価は高くなると考えられる。例えば、サイゴン証券(SSI)は新株を5万ドン/株の価格(額面価格の5倍)で発行したが、この場合SSIは額面価格(1万ドン/株)に対する配当しか支払いをしないで済むが、調達金額と同じだけの金額を銀行から借入れたとすると、手続きが複雑になるばかりでなく、借入資本の金利は支払われる配当よりもかなり高いものになる。
 しかし、殆どの十条企業は新株発行を行う(ホーチミン証取のみで80社以上)ので、投資家は無償増資や新株発行に飽き飽きとしている。
 もしハノイ証取も含めば、投資家は新株を全て引受けるためには90兆ドン(約6,750億円)を用意する必要がある。銀行が証券担保の貸付を中止し、海外投資家は資本を投入するかどうか決定を先延ばしにしている中で、この巨大な金額をどこから調達するのかという問題は、困難な課題となっている。
 無償増資の罠にはまらず、バオベト保険のように売れ残り状態に陥らないためにも、上場企業はしっかりとした対策を立てる必要があるだろう。
 
*個人投資家の間では、株式分割或いは無償・有償増資で得た取引単位以下の株式(端数株)についても、多くの不安や不満が寄せられているようだ。SSIの有償増資と株式配当で得た40株の処分について意見を聞いていた投資家は、とにかくホーチミン証券取引所への鞍替えを待つしかない、という結論に達したという。SSIばかりでなく、ハノイ証券取引所では取引単位が100株ということで、特にこうしたケースが目に付いている。ベトナムでは今のところ、こうした端数株を売却する機関などが存在していないのが実情である。