ファム・ミン・チン首相は10日、台湾系米国人の起業家・実業家で、米国のグラフィックスプロセッサ・半導体大手のエヌビディア・コーポレーション(NVIDIA Corporation)の社長 兼 最高経営責任者(CEO)を務めるジェンスン・フアン氏と会談した。
チン首相はこれに先立つ9月、米国シリコンバレーにあるエヌビディアの本社を訪問し、協力を促進した。フアン社長の今回のベトナム訪問は首相の招きにより実現したもの。
首相は会談で、◇設計、◇ICチップ工場の建設、◇パッケージング・テストの3段階すべてにおいて、ベトナムの半導体産業エコシステムの構築・開発を支援するよう要請した。また、データセンターや研究開発・設計センターなど、半導体・人工知能(AI)分野のインフラ開発、研究開発(R&D)、エンジニアの育成などで、エヌビディアの投資・協力を希望した。
フアン社長は、エヌビディアがベトナムに拠点を設立することで、世界の優秀な人材や科学者をベトナムに誘致し、半導体・AIエコシステムの構築、スーパーコンピュータの設計・開発を推進すると発表した。首相は同計画についてエヌビディアに感謝し、双方間の合意・協力内容を着実に実施すべく作業部会を設立して、首相自らチームリーダーを務めると述べた。
ベトナム計画投資省、同省傘下の国家イノベーションセンター(NIC)、エヌビディアは翌11日、半導体・AIに関するシンポジウムを共催した。フアン社長はこの席で、ベトナムには半導体・AI産業の開発に必要な優秀人材・教育とインフラが整っているとし、法人を設立し、ベトナムを同社の主要拠点とすると明らかにした。
ベトナムを代表する情報技術(IT)最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)のチュオン・ザー・ビン会長は今回、フアン社長と協力機会について話し合い、FPTが注力している半導体・AI分野でエヌビディアとの協力を希望した。
半導体分野では、FPT製のICチップが研究開発段階を終了し、量産段階にこぎ着けた。同社は世界各国から計7000万個のICチップを受注している。人材開発については11月、NIC、米国の非営利団体トレセミ(TreSemi)との間で、ベトナム半導体教育センター(Vietnam Semiconductor Hub for Education=VSHE)の設立に関する提携契約を締結した。3社は2030年までに半導体分野で5万人の技術者チームを形成することを目指す。