国営企業の株式会社化のプロセスをみると、大きく進展したことが見て取れる。このプロセスを通して、多くの大手国営企業が株式会社化に成功し、IPO(新規株式公開)を経て、多額の資金を調達することが可能となった。しかし、投資家の多くは、IPOを行った企業の企業価値についての様々な情報について、自分は一体何を買ったのか?と不安を感じている部分がある。
現在、国営企業の株式会社化(法的には、政府が100%の資本を保有する企業を株式会社へ変更すること)は、2007年6月26日に発行された規定第109号でいくつかの変更がなされた。しかし、投資家を不安がらせている1つの問題は、株式会社化を行うため、企業価値が決定した時から、企業が株式会社モデルに沿った経営登録証明書を正式に受取るまでの期間の企業の財務処理についてである。
規定第109号の21条によると、株式会社化を行う企業は、企業価値確定時点から、正式に株式会社になる時点までの財務報告を作成し、またその時点での国家保有資本を確定しなければならない。国家保有資本が増加する場合、企業はその分を国営企業援助・整備準備金に計上しなくてはならない。
実際にこうした企業の株式会社化は非常にゆっくりと行われる。企業価値が確定し、財務報告を作成する時からIPOの時点まで、あるいは企業が株式会社に正式になる時点までの期間は、実に数ヶ月から1年程度かかるのである。但し、IPOの最低公募価格を確定する根拠や、投資家へ公開される情報は、そのずっと以前に管理当局によって承認された企業価値に基づいて作成されている。企業価値が確定した時点と、IPO時というのでは、時間のずれが大きく、投資家にとっては大きなリスクとなる(このリスクは数量化することが出来ない)。
実施にそうした危惧が現実になったことは多くある。ペトロベトナム化学肥料(銘柄コード:DPM)もその1つの例である。親会社であるペトロベトナムが、面積28ヘクタールの土地と、正式に株式会社化される以前(2007年8月31日まで)の利益を回収することを発表したのである。ペトロベトナムグループの土地回収決定は2007年8月31日前(DPMがペトロベトナムの100%子会社の時)に出されたため、この回収は合法(ペトロベトナムの財務規定に基づく)と見なされるのである。
まもなく行われるサイゴンビール・アルコール飲料(サベコ)のIPOはどうだろうか。株式会社化を行うための企業価値を確定しているのは、2006年12月31日時点、総資産が8兆6,180億ドンを上り、国家保有資本は6兆4,120億ドン強となっている。その時点から現在まで1年間以上が経っている。現在のサベコがどうなっているのか?いつサベコが株式会社モデルにそった経営登録証明書を受取ることができるのか?DPMのような財産回収決定がないと保証するものはあるのだろうか?こうした問いに対して回答ができる投資家はあまり多くはないだろう。
確実だと思われることの1つは、数兆ドンに達するサベコの2007年度利益と2008年度利益の一部(具体的な数字などは不明)が政府へ納められることになることである。これではまるで、価格や支払条件については非常に明らかな商品が売られているが、この商品の品質と納期には保証がない、と言っているのと同じことではないだろうか?