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[市場概況]
証券銘柄は黄金の銘柄となるか?(1)

[2007/08/11 15:29 JST更新]

 8月中には、ホーチミン証券取引所はハノイ証券取引所から鞍替えするブルーチップ1銘柄を迎え入れることになりそうだ。サイゴン証券(銘柄コード:SSI)である。SSIは昨年から他の有名な証券会社と同様にびっくりする利益を上げた。そのため、これらの証券会社の株が突然高価な銘柄になっている。
 そこで、投資家が心配しているのは、証券会社の急速な発展は一時的なのか、それとも持続可能なのかということだ。

1) 7年で資産10億ドル
 SSIは現在のような成果を上げるために7年間苦労を強いられた。しかしその苦労もまったく無駄ではなかった。
 証券市場が暴騰し始めた昨年から、SSI(ベトナム証券市場の初期に設立された他の証券会社も同様)は好業績や利益を発表した。2006年のSSIの売上高は3,784億ドンに達し、経費は僅か758億ドンであった。納税した後、残りの利益は2,420億3,000万ドン(約18億3,300万円)となり、売上高利益率は71.19%に達した。更に特筆すべきは、2006年度利益が前年比で10倍近くになったことだ。
 設立時規模が小さかった企業が、僅か7年で133倍に成長したということは、なかなか想像できないことだろう。
 SSIは2000年に60億ドン(約4,500万円)の資本金で設立された。当時SSIはこんな小さな資本金しかなかったので、ブローカー業務と証券投資コンサルタントという2つの業務しか行えなかった。2001年7月に、SSIは資本を200億ドンに増資し、ディーラー業務と証券保管業務という2つの新業務を追加した。2005年6月までは資本金が僅か520億ドンであり、ポートフォリオマネジメントとアンダーライティングという2つの新業務を含む証券業務を行うのに足りるだけであった。それぞれの増資で新株主も現れたが、主にそれまでの株主が、会社と共に証券市場の困難な段階を乗り越えるため、資本を追加していった。
 しかし、2006年には3回の増資で規模が急に大きくなり、資本金は520億ドンから5,000億ドンへと大きく増加した。更に2007年第2四半期には3,000万株の新株を発行し、資本金を8,000億ドンに増資した。そのうち、海外の戦略的パートナとしてオーストラリアのANZ銀行と日本の大和證券が、それぞれ17万ドン/株と17万 5,000ドン/株という価格で900万株(資本金の11.25%)を引き受けた。大和證券はSSIの時価総額を10億ドル弱と評価したため、17万5,000ドン/株の価格(11ドル/株に相当)をつけたと見られている。こうして、7年間前には資本金が僅か60億ドンだった会社が、現在は10億ドルと評価されることになったのだ。

2) 投資家が慎重に対処
 SSIの上場初日(2006年12月18日)の(平均)株価は、17万9,600ドンだった。そして2007年5月中には、24万ドン~25万ドン/株のレベルで常に取引されていた。しかし、3,000万株の新規発行によって株価が調整されたこともあり、8月6日の株価は15万4,700ドン/株に下落してしまった。ということは投資家の銘柄評価方法は単純ではないということだ。 SSIの、これまでそして現在の好業績といえども、株価を高レベルで維持するには、力不足だったということだ。
 2007年度第2四半期の業績は、売上高が3,022億ドン、税引後利益は2,038億7,000万ドンに達した。第2四半期利益率は67%に達し、EPSが4,078ドンである。
 一方、慎重に評価している投資家は、証券市場が今後もうないかもしれないほど順調な発展を遂げたため、巨額の利益を得たわけであり、SSIと他の証券会社の本当の実力を把握し評価するには、今しばらくの時間が必要だと考えている。
 これらの証券会社は株価が割安の時期に大量に株式を購入した。証券市場が2006年末~2007年初にかけて過熱して株価が高く引き上げられたことで、証券会社が大きな利益を上げるチャンスが生まれた。SSIの2006年度業績によると、3,784億8,000万ドンの総売上高のうち、ディーラー業務の売上高は1,944億ドンであり、総売上高の51.3%を占めていた。
 しかし、現在ではディーラー業務で以前のように大きな利益を簡単に上げることは難しく、更に今後は証券会社は合計で100社弱となり、競争の厳しい分野になっていく。

(2)に続く

[経済日報 8月9日]


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