これについて研究グループは、USDの供給が減る一方、需要が高い水準で維持されているためと説明している。その背景には、海外直接投資(FDI)が伸び悩んでいること、貿易赤字が拡大していることなどがある。年初5か月のFDI認可額は42億9765万USD(約5300億円)で、前年同期に比べて▲22.0%減少。また、年初4か月の貿易収支は▲20億7200万USD(約2600億円)の赤字となっている。
研究グループによると、今年は中長期的にドル買い圧力が強まる傾向があるという。そのため、ドルの需給関係に大きな変化がなければ、ドン安ドル高の趨勢は変わらないとしている。
ベトナム国家銀行(中央銀行)は5月7日に、対USD銀行間為替レート(中銀公定レート)を▲1%切り下げて1USD=2万1673VNDとした。これにより、商業銀行が提示する対USD為替レートは1USD=2万1456VND~2万1890VNDの範囲となっている。
それでもドン安傾向は収まらず、一時的に公定レートの上限である2万1890VNDに近い1USD=2万1850VNDまでドン安が進んだ。しかし中央銀行が為替介入の姿勢を見せたことで、為替レートは5月末から一旦落ち着きを取り戻しており、中央銀行が提示する売値1USD=2万1820VND前後で推移している。