サコムバンク(銘柄コード:STB)の外国人保有枠の不正確な表示により、多くの国内投資家は8月21日にSTB株をストップ高の価格で大量に売却することができた。アナリストは、STBの価格が大量の新株の追加上場から影響を受けているにもかかわらずストップ高したことは、やはり幸運だったと見ている。しかし、この手違いはSTB株を保有している投資家を不安にさせた。特に彼らがSTBの株価の複雑な変動を見た際に。
ハイフォン証券(銘柄コード:HPC)で口座を開設している投資家チャン・バン・キェット氏は「流通している株式数とほぼ同数の株式が上場する8月21日は、STBの株価にとって特別な日だった。市場が軟調に推移し供給量が倍になるので、株価が下落するのは当たり前だと思っていた。だから、当日の第1節にSTBの株価がストップ高した時、私はすぐに売り注文を出した。買注文の株式数が非常に大きかったので、私の売り注文は成立した。これは珍しいことだったと言えるが、利益を上げられるチャンスだったので逃さなかった。」と語った。
キェット氏とは逆に、バオベト証券(銘柄コード:BVS)のある投資家は当日の第2節に買注文を出した。この投資家が買注文を出した理由は、第1節の売買高が120万株を上回り通常より大きく増加していたためだ。この投資家は、STB株の外国人保有枠が一杯になっても、国内投資家を惹き付けている好材料が何かあるはずだと思った、と語った。
実際にはホーチミン証券取引所によると、第1節の株式数が非常に大きかった買注文は海外投資家からの買注文だったという。外国人保有枠が一杯(30%)になったにもかかわらず、この買注文が取引成立したことは規定に違反している。この不手際に歯止めを掛けるため、ホーチミン証券取引所は新しい連絡が出るまで海外投資家の買注文の入力を停止させるよう各証券会社へ文書で、取引所にいる注文入力オペレーターへは口頭で緊急連絡した。しかし、海外投資の買注文の入力停止の処置が採られたは第2節の中途からであり、実際には遅かったのだ。
ホーチミン証券取引所によれば、この手違いの原因はSTB株の外国人保有枠を誤って算出したためだという。この手違いによって、STB株の8月21日の売買高が急増した。20日の売買高は72万6,980株に留まっていたが、21日の第1節の売買高は120万株を上回った。更に第2、3節の売買高も大きかった。第2節(連続取引)終了時の総売買高が185万株であり、また取引終了時の総売買高は200万株以上に達した。ということは、多くの国内投資家はこの事情を知らずにSTB株を購入したことになる。雑誌「証券投資」の情報によると、当日にSTB株を売却した投資家はホーチミン証取からの通知を受け取っていたようだが、逆に買った人たちは知らなかった。また第3節にストップ高の価格で買注文を出した投資家もいる。STB株の外国人保有枠表示が不正確であったことについて、ホーチミン証券取引所と証券会社が投資家全員に通知する手法がなかったこと対して怒りを感じている投資家は多くいる。
※証券保管センターのフオン・ホアン・ラン・フオン所長の談話
「8月21日のSTB株の外国人保有枠表示が不正確であったのは、証券保管センターのスタッフがSTBの外国人保有枠を本来の30%から49%と誤って計算したためです。さしあたっての統計では保有枠をオーバーした株式数はそれ程多くなく、流通株式総数の0.13%~0.14%程度しかなかったようだ。対処方法としては、海外投資家の取引成立した買注文は取り消さず、今後彼らに自主的に売却、調整してもらうつもりだ。我々は反省しており、今後は十分注意する。」