地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電気自動車(EV)メーカーであるビンファスト(VinFast)は5月30日、米国証券取引委員会(SEC)に提出していたナスダック・グローバル・セレクト・マーケット(Nasdaq Global Select Market、NASDAQ-GS)への上場申請を取り下げた。
取り下げ理由は、米ニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場に切り替えたため。
ビンファストは2022年12月、SECに対し、米国での新規株式公開(IPO)に向けた登録書類を送付。しかし、ビンファストは今年5月中旬、特別買収目的会社(SPAC)のブラック・スペード・アクイジション(Black Spade Acquisition)との合併で合意に至り、NYSEへの上場を目指すと発表していた。
上場は当局と株主の承認後、2023年中に完了する見通し。合併会社の企業価値は約270億USD(約3.75兆円)の計算となり、ビンファストの既存株主が合併会社の株99%を保有することになる。
ビンファストは2017年の設立で、北部紅河デルタ地方ハイフォン市で工場を展開している。当初はガソリン車の開発・生産販売を手掛けていたが、現在はEVに専念。これまでにA~Eセグメントの電気自動車6車種、電動バイク9車種、電気バス1車種を発表している。
またEVは既に米国とカナダへの輸出を果たしている。さらにビンファストは年内に、フランス、ドイツ、オランダにもEVを輸出する計画。先行投資コストが大きく、設立から赤字が続いている同社だが、2024年に黒字化する見通しだ。