唯一、銀行株だけが30%の保有上限を設定されたことに対して、多くの外国人投資家が落胆している。他業種の上場銘柄の場合には49%までの保有が許容されるにもかかわらず銀行株のみが30%に設定されたことで、OTC市場で取引されている商銀各行の株価はここ数日間で平均5%ほど下落している。ベトナム中央銀行が発表したこの規定は何も目新しい材料ではなかったが、5%以上の株式購入に認可取得が必要になったため狼狽売りを誘ったと見られている。
一方、国家証券委員会の高官は、この規定によって委員会と証券取引センターは厄介な課題を突きつけられることになるとの見解を示した。この高官によると、最大の問題は、外国人投資家の保有残高を確認するための技術的なチェック機能が証券取引センターにはないことである。今のところ、投資家による保有比率を把握しているのは保護預かり機関(カストディ銀行など)に限られるが、こういった金融機関はその詳細をベトナム中央銀行に報告することを法的に禁止されている。そのため、外国人投資家の立場からすると、ベトナム中央銀行から認可を取得せずにうっかり5%超を購入してしまったときの事後処理に困る(事後処理を所轄する管轄当局が規定されていない)。
こういった議論を踏まえ、ベトナム中央銀行と国家証券委員会はこれに対処できる現実的な解決策がないか検討している。サコムバンクのある株主によると、現行規定では認可は必要なく、国家証券委員会と証券取引センターへの届出だけで済む。また、別の外国人投資家は、「買い注文を出してもそれが実際に約定するかどうかも定かでないのに、その前にいちいち中央銀行から認可を受けるなんて馬鹿げた話だ。」と話していた。