ボー・バン・トゥオン国家主席の招きによりベトナムを公式訪問したフィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領は29日、地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)のファム・ニャット・ブオン会長と会見した。
ブオン会長はこの席で、ビングループのエコシステムを紹介し、中でも同社傘下の電気自動車(EV)メーカーであるビンファスト(VinFast)が2024年中にフィリピンにEVと電動バイクの販売網を構築すると報告した。ビンファストが2023年に国内外の購入客に納車した台数は3万4855台となっている。
マルコス大統領は、フィリピンが交通運輸分野の近代化・再構築計画を展開しており、その一環として電動車両の供給を確保することの必要性を主張。フィリピンは既にEV部品の輸入を推奨する法律を整備したと述べ、同国国内でEV製造を手掛ける海外投資家を歓迎するとした。
大統領はまた、フィリピンはコバルトや銅、ニッケルなどEV用バッテリーの製造に用いられる鉱物の埋蔵量が豊富であるとし、鉱物の加工を通じてEV用バッテリーのサプライチェーンへの参加、VICによる同国国内のEV用バッテリー製造工場の建設を望み、VICのフィリピン事業に便宜を図ることを約束した。
ブオン会長はこれに謝辞を述べ、海外進出戦略の中でフィリピンを主力市場として事業を積極的に推進していくとし、EVだけでなく、電気バスやタクシーサービス、人工知能(AI)、医療などの分野でも同国と協力したい意向を表明した。