観光総局によると、ベトナムにおけるオンライン旅行市場の規模はおよそ35億USD(約3800億円)となっている。国内のオンライン旅行会社(OTA)は約10社あるが、同市場のシェアは国内企業が20%未満に留まり、外資系が80%余りを占めている。
国内のOTAとして、2016年にサービスを開始した「Vntrip.vn」、旅行関連のサプライヤー事業を展開するティエンミングループ(Thien Minh Group)の「Ivivu.com」、国内トップブランドの旅行会社であるベトラベル(Vietravel)が2018年8月に開設した「Tripu.vn」などが挙げられる。海外のOTAには、「アゴダ(Agoda)」、「ブッキングドットコム(Booking.com)」、「トラベロカ(Traveloka)」、「エクスペディア(Expedia)」などがある。
ベトナム電子商取引(eコマース=EC)協会(VECOM)のグエン・タイン・フン会長によると、国内企業は外資系企業よりも技術力や資金力が弱く、オンライン旅行業界に対する当局の支援措置もまだない中で、シェア獲得に向けて投資を増強しているという。しかし、現状では国内企業と外資系企業の競争は「20歳と2歳の競争」と例えられている。
米大手会計事務所グラント・ソントン・ベトナム(Grant Thornton Vietnam)は、海外のOTAが国内ホテルの売り上げに積極的に貢献している一方で、ホテルの売上高全体に占める海外OTA経由の割合が大きくなれば、海外OTAに依存するリスクが生じると指摘している。
この背景には、ホテルが海外OTAを利用する場合、最大46%の手数料に加えてホテル情報を上位に表示させるための広告料も支払わなければならず、コストがかかるということがある。こうした中で国内OTAは、ホテルから徴収する手数料を低く抑えることや、無名のホテルや新たなホームステイ先との提携により、海外OTAからシェアを奪う可能性もあると見られている。