レ・ミン・カイ副首相は8日、低迷している不動産市場の困難を取り除くための対策を探ることを目的とした会合を開催した。会合には、建設省やホーチミン市不動産協会(HoREA)のほか、カンディエン不動産[KDH](Khang Dien House Trading & Invest)、ノバランド不動産投資グループ[NVL](Novaland Group)、ビングループ[VIC](Vingroup)など多くの業界関係者が出席した。
HoREAのレ・ホアン・チャウ会長は、「不動産市場は非常に困難な状況に陥っている。売れ行きが乏しく、大手のデベロッパーを含めて多くの会社は大規模なリストラや工事の一時停止、増資の停止を余儀なくされている」と述べ、「不動産会社の経営不振は国の税収喪失につながるだけでなく、経済成長にも負の影響を及ぼすだろう」との見解を示した。
チャウ会長によると、某デベロッパー大手は人員を▲50%も削減せざるを得ない状況だという。将来的に形成される物件について、販売価格を▲40~50%と大幅に引き下げて販売促進に努めているが、デベロッパーが経営破綻などに陥ってしまえば工事は停止し、物件の引き渡しも受けられないため、購入希望者はこうした大幅割引の物件に慎重を期している模様だ。
ベトナム国家銀行(中央銀行)が不動産向け融資を抑制していることを背景に、不動産向けの9月時点の貸付成長率は前年末比+7%程度に留まり、全体としての貸付成長率+11%を大きく下回っている。
商業銀行から資金を借り入れるのが難しくなったことを受け、多くのデベロッパーは社債発行により資金を調達しており、2023年から2024年にかけて約790兆VND(約4兆6000億円)の社債を償還すると推定されている。しかし、これを問題視する当局が社債市場の監督を強化しているため、多くのデベロッパーは相次いで社債の繰り上げ償還を実施している。
証券取引所に上場している不動産会社45社の6月末の棚卸資産の合計額は約273兆3730億VND(約1兆6000億円)に達し、総資産の合計額の半分以上を占めているという。
チャウ会長は不動産市場が直面している困難を指摘した上で、◇改正土地法とそれに関連する法律の策定完了・公布、◇廉価な住宅を開発するデベロッパーの支援と、廉価な住宅を購入する低所得者向け融資の確実化、◇不動産向け融資を増やすこと、などを提案した。