不良債権の増加や貸付成長の低迷を背景に、商業銀行は債権回収に向けて不動産を中心とする担保資産の競売を相次いで発表している。
ベトナム投資開発銀行[BID](BIDV)は、多数の担保資産を競売にかけると発表した。これには、3件の土地(最低入札価格70億~180億VND=約4200万~1億1000万円)が含まれる。同行が過去に数十回にわたり売り出したものの、応札がなかった資産も多くある。
ヴィエティンバンク[CTG](Vietinbank)は、主に南中部沿岸地方クアンナム省ホイアン市、同地方ダナン市、同地方カインホア省などの観光地にある不動産の担保資産の競売を発表した。同行は債権回収のための資産売却に加えて、566件の消費者ローンの売却も発表した。規模は数十万VND(十万VND=約610円)から2億VND(約120万円)近くに及ぶ。これらの債権は簿価の90%で売りに出された。
不良債権が増加している背景には、景気低迷による企業の事業停滞や、不動産市場の低迷がある。
ベトナム国家銀行(中央銀行)の統計によると、2023年2月末時点の不良債権比率は政府公表値で2.91%に上り、2022年末の2.0%を上回り、2021年末の2倍近くとなった。ベトナム債権回収公社(VAMC)に売却された未処理の不良債権や不良債権になる可能性のある債権を加えた不良債権比率は5.0%の高水準となっている。