アジア開発銀行(ADB)は25日に発表した「アジア経済の見通し(Asian Development Outlook=ADO)」に関する最新レポートで、ベトナムの国内総生産(GDP)成長率予想を2019年に+6.8%、2020年に+6.7%で据え置いた。
米中貿易戦争の影響によるアジアの貿易・投資の減速で、ベトナムへの輸出も悪化するが、国内需要の増加が経済成長を押し上げる見込みだ。インフレ上昇率が低い水準に抑えられていることや雇用創出の増加などが好材料となり、個人消費も拡大傾向にある。
加えてベトナムの民間投資も活性化。これにはビジネス環境や国家信用格付けの改善が背景にある。さらに、ベトナムは貿易摩擦によって中国からの製造拠点のシフトによる恩恵を受けている。
ADBはベトナムの2019年のインフレ率予想を+3.5%から3.0%、2020年の予想を+3.8%から3.5%へと引き下げた。
なお、ADBは米中貿易摩擦の深刻化を理由に、アジア太平洋地域の2019年GDP成長率予想を+5.7%から+5.4%に下方修正している。