ベトナム金融投資家協会(VAFI)はこのほど、ベトナム国家銀行(中央銀行)などの関連当局に対して、VND建て預金金利をゼロ%まで段階的に引き下げることを提案した。預金金利の引き下げは、貸付金利の低下につながり、企業や低中所得者層の資金調達を支援することが狙いだ。
VAFIによると、欧米諸国がゼロ金利政策を適用しているのに対し、タイやフィリピン、マレーシア、シンガポールなどの東南アジア諸国では短期預金金利がゼロ%、長期が年0.2~0.7%となっている。
一方、ベトナムでは短中期のVND建て預金金利が年3.5~6.2%と高水準だ。
VAFIが預金金利の引き下げを提案した根拠は以下の通り。
◇ベトナムは政治的な安定性が高く、経済成長率が周辺諸国を上回ること
◇輸出や海外送金を通じて大量の外貨を獲得していること
◇外貨準備高が増加していること
◇株式・社債市場が大きく発展していること
◇銀行業界の資本規模や企業マネージメント能力が改善していること
このほか、VAFIは不動産や外貨への資金流入を抑制し、債券市場向けに余裕資金を誘致することなども提案した。
しかし、金融専門家は「預金金利をゼロ%に引き下げる案は実現性が低く、銀行の流動性損失を引き起こす可能性もある」と指摘している。