24日からシンガポールを公式訪問していたグエン・スアン・フック国家主席は25日、「ベトナム・シンガポール企業対話」に出席した。対話会には、港湾やスマートシティ、再生可能エネルギー、デジタル経済などの分野を手掛ける100社以上の企業が参加した。
フック国家主席は事業投資環境の改善、透明性の向上に加え、ロジスティクスコストや行政手続き、人材に関する問題の解決により、両国の企業に有利な条件を整える考えを示した。また、ハイテク、デジタルトランスフォーメーション(DX)、イノベーションなどの優先分野での投資協力を促進する方針だ。
フック国家主席の立会いのもと、様々な分野に関する協力文書の署名が行われた。今回の契約総額は約110億USD(約1兆2800億円)に上る。
このうちの1件として、シンガポールの不動産会社キャピタランド(CapitaLand)傘下のキャピタランド・デベロップメント(CapitaLand Development)と東北部地方バクザン省人民委員会との間で、ベトナム国内初となる都市・産業・ロジスティクス施設案件に関する覚書が結ばれた。同案件の契約額は10億USD(約1160億円)。
また、格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Aviation=Vietjet Air)のグエン・ティ・フオン・タオ社長が会長を務めるコングロマリット(複合企業)のソビコ・ホールディングス(Sovico Holdings)は、ケッペル・コーポレーション(Keppel Corporation)および同社の傘下企業との間で、ベトナムにおけるエネルギーソリューション開発と持続可能な都市化に関する協力合意書に調印した。契約額は15億USD(約1740億円)。
ソビコ・ホールディングスはさらに、VJCとシンガポール・チャンギ国際空港との間で、ベトナムでの航空サービス提供に関する合意書に調印した。契約額は15億USD(約1740億円)。
このほか、HDバンク[HDB](HDBank)と銀行向けに次世代のクラウドネイティブの勘定系システムを提供するフィンテック企業ソートマシン(Thought Machine)、地場系コングロマリット(複合企業)T&Tグループ(T&T Group)と物流会社YCHグループ(YCH Group)、乳業大手THグループ(TH Group)とハオマート(HAO Mart)の間でもそれぞれ覚書が締結された。