シンガポール系ユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)は先般発表した最新の2025年1~3月期レポートの中で、ベトナムの2025年における国内総生産(GDP)成長率予想を前回レポートの+7.0%から+6.0%に引き下げた。これは、2024年の成長率+7.09%を下回る。
統計総局(GSO)が発表した2025年1~3月期のGDP成長率は前年同期比+6.93%にとどまり、UOB予測の+7.1%をわずかに下回った。テト(旧正月)による稼働日の減少が生産活動に影響したとみられる。
また、最大の懸念材料として、米国が4月2日に発表した最大46%の相互関税が挙げられる。UOBは、この関税により対米輸出が前年比▲20%減少すると予想。その他市場への輸出が横ばいの場合、2025年の輸出総額は前年比▲6%減少する見込み。この影響で、2025年のGDP成長率は1ポイント押し下げられると試算した。2025年4~6月と7~9月のGDP成長率はそれぞれ+6.1%、+5.8%に減速する見込み。
UOBは、ベトナム国家銀行(中央銀行)が基準貸付利率(リファイナンスレート)を年+4.5%で据え置くとの見方を示した。ただし、今後の景気悪化や雇用情勢次第では、コロナ禍水準の4%、さらには3.5%まで利下げする可能性があると見ている。
為替については、米国の相互関税の発表後、ドンの対米ドル為替レートが過去最低の2万5800VND(約144円)を記録。UOBはVNDが今後も下落すると見ており、2025年7~9月には2万7200VND(約152円)に達すると予想している。