「アリラン(Arirang)」ブランドのカラオケ機器で知名度の高いフーニュアンサービス[MSC](Phu Nhuan Service=MASECO)は、カラオケ機器製造販売事業から撤退することを明らかにした。
同社は今年中にカラオケ機器事業の全ての在庫を処分する。これにより、今年の同事業は▲500億VND(約▲2億3600万円)の赤字を計上する見通しだ。
カラオケ機器製造販売は同社の主力事業の1つだったが、2014年から2018年までの5年間に減収減益を続けており、2018年にとうとう赤字に転落した。同事業の2018年の売上高は2014年の4分の1にあたる1730憶VND(約8億2000万円)に落ち込んだほか、▲500億VND(約▲2億3600万円)の赤字を計上した。
この背景として、価格面や技術面で中国や日本から輸入されるカラオケ機器に太刀打ちできないこと、ユーチューブ(YouTube)でカラオケができるスマートテレビや、社会問題ともなっている移動スピーカーでの路上カラオケが普及するようになったことなどが挙げられる。
同社は今後、オフィス賃貸事業に注力するほか、自動車販売事業に新たに参入する。自動車販売事業の一環として、ホーチミン市フーニュアン区にある自社の不動産に自動車ショールームをオープンし、チュオンハイ自動車[THACO](Truong Hai Automobile)の乗用車を取り扱う。
アリランは、ベトナム人の多くが「カラオケ機器=アリラン」と思い浮かべるほどブランドの認知度が高いが、激しい競争に晒されて市場から姿を消していくことになる。