米総合不動産サービス大手のジョーンズ・ラング・ラサール(Jones Lang LaSalle=JLL)が発表した2022年1~3月期におけるベトナムの工業団地不動産市場に関する報告によると、南部の工業団地の賃貸料は1m2あたり120USD(約1万5500円)で、前年同期比+9%上昇した。
新型コロナ後の経済活動再開に伴う海外直接投資(FDI)の流入に加えて、企業が生産拡大を推進していることが、賃貸料の上昇につながった。
カナダ系不動産サービス大手コリアーズ・インターナショナル・ベトナム(Colliers International Vietnam)によると、同期のホーチミン市の工業団地の賃貸料は1m2あたり190USD(約2万4500円)で、稼働率は90%だった。ハノイ市では、同期の賃貸料が1m2あたり142USD(約1万8300円)で、稼働率は90%で安定していた。
電子商取引(eコマース=EC)や倉庫、物流などの分野の成長が今年の工業不動産市場の主な原動力となる。東南部地方ビンズオン省や同ドンナイ省、南部メコンデルタ地方ロンアン省、北部紅河デルタ地方ハイフォン市、同ハイズオン省、同バクニン省の工業団地が多くの投資家を集めている。
一方、英系総合不動産サービス会社のサヴィルズ・ベトナム(Savills Vietnam)は、国際線の運航再開によりベトナムの工業不動産市場が昨年末から活性化しているとしている。ベトナム政府は技術、研究開発、再生可能エネルギー、スマート農業に関連する企業の誘致に向けて、税制上の優遇措置を適用している。これが、工業不動産市場の成長を促す見通し。