英大手格付会社フィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)が先般発表したレポートによると、内需が回復して輸出も力強く成長を続けるとの予想からベトナム経済は2022年に著しく回復するものと見込まれる。
新型コロナの感染拡大による影響を受け、2021年におけるベトナムの国内総生産(GDP)成長率は前年の+2.91%から+2.58%に減速。プラス成長を維持しながらもフィッチ・レーティングスが2021年4月に発表したレポート内の予想値(+7%)を大きく下回った。
新型コロナの影響は依然として続いているものの、国内のワクチン接種率が世界でも高水準となっていることなどを背景に、ベトナム政府は対応戦略を「ゼロコロナ」から「ウィズコロナ」に切り替えたため、今後、新型コロナがベトナム経済に及ぼす影響は限定的なものになると見られる。
フィッチ・レーティングスはこれを踏まえ、ベトナムの2022年のGDP成長率が+7.9%の高水準に達して、2023年も+6.5%の高成長を継続すると予想している。
ベトナムでは堅調な輸出がGDP成長をけん引していく見通し。ベトナムの2021年の輸出額は前年比+19.0%増の3363億USD(約38兆7000億円)へと順調な伸びを示した。ベトナムの輸出は引き続き、◇コスト競争力の高さ、◇チャイナプラスワンでの優位性、◇ベトナムが複数の二国間・多国間の貿易協定を締結していることなどによる恩恵を受けると予想される。
厳しいロックダウン政策が適用された2021年第3四半期(7~9月)には、一時的なサプライチェーンの混乱が見られたが、輸出関連の海外投資家に対するベトナムの魅力を損ねることはないと分析。
なお、2021年の海外直接投資(FDI)認可額(推定値)は前年比+9.2%増の312億USD(約3兆6000億円)へと伸びた。また、実行額(推定値)は同▲1.2%減の197億USD(約2兆2700億円)に微減した。