三菱マテリアルグループは29日、タングステン事業を手掛けるドイツのH.C.Starck Holding (Germany) GmbHの全株式を取得することについて、マサングループ[MSN](Masan Group)傘下のマサンハイテク材料[MSR](Masan High-Tech Materials)との間で合意し、MSR子会社が99.99%出資するマサンタングステン(Masan Tungsten)との間で取得に関する最終契約書を締結した。
H.C.Starckは1920年の設立で、100年以上の歴史を有する世界有数のタングステン製品メーカー。主にタングステン粉、タングステンカーバイド粉およびその合金を素材とする高品質粉末を欧州、北米、中国で製造・販売しており、日本にも販売網を有する。また、世界最大級のタングステンリサイクル能力を保有している。
H.C.Starckの資本金は2万5000EUR(約420万円)で、持株比率はマサンタングステンが100%となっている。
取得価額は1億3450万USD(約210億円)。取得については、三菱マテリアルグループが100%出資するMMネザーランズ(MM Netherlands B.V.)が主体となって実行する。必要な社内手続きおよび当局の承認を経て、2025年3月末までに株式取得が完了する予定だ。
今回の株式取得により、三菱マテリアルグループは、日本、欧州、北米、中国の4大市場にタングステン事業の拠点を有することになる。100%子会社の日本新金属株式会社(大阪府豊中市)とH.C.Starckの連携による研究開発力の強化、クロスセルの推進、リサイクル技術・能力の活用などを通じたシナジー創出と企業価値向上を目指すとともに、タングステンリサイクルのグローバルな事業展開につなげていく。
また、MSRとの間でタングステンの中間原料であるAPTの長期調達契約を締結し、今後もパートナーシップを継続していく。