21日にハノイ市で開催された M&A(合併・買収)に関するシンポジウムで発表された報告によると、2009年から2018年までの10年間に行われた全国のM&A件数は4353件で、取引額は488億USD(約5兆5000億円)に達した。
また、M&A市場は売り手にとって有利な方向で成長していると見られ、これを背景にM&A取引成立後に売り手と買い手との間で意見の食い違いが生じ、協力を継続できないケースもある。
その代表的なケースとして、ベトナムで豊富な経験を有する英系ファンド運用会社ビナキャピタル(Vina Capital)が運営する投資ファンドであるベトナム・オポチュニティー・ファンド(VOF)が今年3月に国内の卵市場のシェア3割を握るバーフアン(Ba Huan)に3250万USD(約36億7000万円)を投じたが、8月に投資の終了を余儀なくされたことが挙げられる。
理由は、バーフアンの創業者が「英語の契約に不利な事項が存在していたが、それを読み取ることができなかった」、「ビナキャピタルがバーフアンの経営支配権を奪う計画がある」と主張したため。
こうしたことを回避するため、交渉段階で不明点などの話し合いを徹底する必要があると指摘されている。
なお、2018年に行われた代表的なM&A案件として以下のものが挙げられる。
◇韓国系の新韓ベトナム銀行(Shinhan Bank Vietnam)による消費者金融会社プルデンシャル・ベトナム・ファイナンス・カンパニー(Prudential Vietnam Finance Company)の完全買収(取引額:1億5100万USD=約171億円)
◇ロッテ・ファイナンスベトナム(Lotte Finance Vietnam)によるテクコム・ファイナンス(Techcom Finance) の完全買収(同1兆7000億VND=約81億円)
◇ビングループ[VIC](Vingroup)傘下のビンファスト(VinFast)による米ゼネラルモーターズ(General Motors=GM)の主力ブランド「シボレー」のベトナムでの生産販売事業の完全買収
◇VIC傘下のビンコマース貿易サービス(Vincommerce)による地場スーパーマーケットチェーン「フィビマート(Fivimart)」の完全買収
◇VIC傘下のビンプロ(VinPro)による携帯販売大手ビエントンA(Vienthong A)の買収(保有率64.1%)