4月末から広がった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第4波を受け、香港上海銀行(HBSC)は先般発表したレポートの中で、ベトナムの2021年の国内総生産(GDP)成長率予想を+6.6%から+6.1%に下方修正した。
特にサービス業は今回の第4波で大きな影響を受けており、4~6月の成長率への貢献度が、新型コロナ以前の45%から20%へと大きく縮小した。
内需も不安定になっており、4~6月の小売売上高は、前年の4~6月に全国的なロックダウン(都市封鎖)が行われて以来の最低水準となっている。4~6月の失業率は1~3月の2.4%から2.6%に上昇し、雇用件数は▲6万5000件減少した。
ベトナムのような新興市場では、雇用市場が本格的かつ持続的な回復を達成するまで国内消費が低迷することが予想される。第4波ではこれまでに約2万人の感染者が確認されており、経済への影響は少なくとも7~9月まで続くものと見込まれる。
しかし、製造業と輸出がベトナムの成長を支えており、4~6月の輸出額は前年同期比で+33%増加した。これはコロナ禍が続いていることを背景に電子機器や機械など特定の製品に対する需要が高まったことによるものとみられる。
HSBCはレポートの中で、「新型コロナの影響は依然続いているものの、ベトナムの経済成長を楽観視している」と評した。
なお、ベトナムの1~6月期のGDP成長率は+5.64%で、前年同期の+1.82%から大きく加速した。