ベトナム電力グループ(EVN)はこのほど開かれた2021年総括会議で、同年に新たに稼働を開始した発電所の出力合計は7500MWで、同年末時点における全国の発電所の出力合計は7万6620MWとなり、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の中で首位になったと発表した。
新たに稼働を開始した発電所の出力合計のうち、再生可能エネルギー(風力発電と太陽光発電)が3420MWで全体の半分弱を占めた。同年末時点の再生可能エネルギーの出力合計は2万0670MWで、全国の発電所の出力合計の27%を占めるまでに成長した。
また、同年の発電量(輸入電力を含む)は前年比+3.9%増の2560億kWhだった。
EVNのチャン・ディン・ニャン社長はベトナムの発電容量の成長を評価する一方、電力調達コストが上昇し、電力網の運営上の困難も高まっていると課題を指摘した。
事実、再生可能エネルギーの調達価格は、太陽光発電所が稼働開始時期によって1kWh当たり0.0709~0.0935USD(約8.1~10.7円)、風力発電所が1kWh当たり0.085USD(約9.7円)となっており、火力発電所や水力発電所からの電力調達価格を上回っている。
電力網の運営上の困難については、日照時間や天候などの問題で太陽光発電の稼働時間が限られ、電力貯蔵システムもないため、安定供給を確保しにくいほか、送電網の整備が発電所の投資に追いついておらず、送電網の空き不足により発電所が発電容量を最大限に活用できていないのが現状だ。
なお、2022年も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が続くとの予想から、同年の発電量(輸入電力を除く)は前年比+7.6%増の2424億kWhの小幅な増加が見込まれている。