シンガポール系ユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)は、ベトナムの2022年における国内総生産(GDP)成長率予想を以前の予想値である+7.0%から+8.2%に上方修正した。
この背景には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の深刻な影響を受けた前年同期からの反動により、ベトナムの2022年7~9月の経済が2桁台のプラス成長を遂げたことがある。
統計総局(GSO)の発表によると、2022年7~9月のGDP成長率(推定値)は前年同期比+13.67%に達した。1~9月期のGDP成長率は前年同期比+8.83%で、前年同期の+1.42%から大幅に加速し、1~9月期として直近12年間で最高値だった。
1~9月期には工業・建設業、サービス業など各分野がいずれも順調に伸び、中でも宿泊・飲食サービスが+41.70%と急伸した。
しかし、世界各国の中央銀行による金融引き締め政策が、ベトナムの主力輸出市場となっている米国とヨーロッパに重くのしかかるとの予想から、ベトナムの2023年のGDP成長率は+6.6%に減速するものと見込まれる。
米連邦準備理事会(FRB)がインフレ対策としてさらなる利上げを実施する可能性を示唆していることから、米ドルの上昇が続くと予測されていることを背景に、UOBはベトナム国家銀行(中央銀行)が今後半年間に貸付基準利率(リファイナンスレート)をさらに+1.0%pt引き上げると予想している。
これにより、貸付基準利率は2022年末を目処に年5.5%、2023年3月末ごろにさらに年6.0%に引き上げられる見通しだ。これに伴い、向こう数四半期にドン安が進み、対ドル為替レートは、◇2022年10~12月:2万4000VND、◇2023年1~3月期:2万4100VND、◇2023年4~6月:2万4200VND、◇2023年7~9月:2万4300VNDのドン安に調整されるものと見込まれる。