アジア開発銀行(ADB)が11日に発表した「アジア経済見通し(Asian Development Outlook=ADO)」によると、ベトナムの国内総生産(GDP)成長率は、2024年が+6.0%、2025年が+6.2%と予想されている。
外部環境の不確実性が依然として残っているにもかかわらず、2024年のGDP成長率予想は、昨年末に発表された前回のADOから据え置かれることになった。
ADBエコノミストらによると、世界的な需要低迷と各国の政策金利が高水準を保っていることが、ベトナムの経済成長にマイナス影響を与えている。しかし、持続的な貿易黒字や好調な海外直接投資(FDI)、金融政策緩和への迅速な切り替え、大規模な公共投資、給与引き上げといった消費刺激策が成長回復を支えていくと見込まれる。
統計総局(GSO)が発表した統計データによると、2024年1~3月期の輸出額は前年同期比+17.0%増の930億6000万USD(約14兆2380億円)、輸入額は同+13.9%増の849億8000万USD(約13兆0020億円)。これにより、同期の貿易収支は80億8000万USD(約1兆2360億円)の黒字となった。
また、計画投資省海外投資局(FIA)によると、同期のFDI認可額(推定値)は前年同期比+13.4%増の61億7000万USD(約9400億円)超、実行額(推定値)は同+7.1%増の約46億3000万USD(約7100億円)へと順調に増加した。
公共投資について、2024年分として273億USD(約4兆2000億円)相当の巨額な公共投資が予定されている。
なお、ADBエコノミストらは、地政学的な不確実性および国内の構造的脆弱性が経済成長の見通しに影響を与える可能性があるとし、政策運営では内需強化を狙った短期的な成長支援策と、持続可能な成長を促進する長期的な構造的救済策を組み合わせる必要があるとの見解を示した。