地場系コングロマリット(複合企業) ビングループ[VIC](Vingroup)の小売部門は、店舗網の拡充により年間売上高は順調に伸びているものの、規模拡大によるコスト増で赤字となっている。
地元紙によると、VICはビンコマース貿易サービス(ビンコマース=VinCommerce)およびビンエコ農業開発製造投資(ビンエコ=Vineco)の子会社2社をマサングループ[MSN](Masan Group)に譲渡する。MSNとビンコマース、ビンエコが新たに設立する新会社との株式交換を実施する。新会社はMSNが支配権を握る見通しだ。
消費財分野で20年以上の経験を持つMSNは、VICの小売部門をすべて継承することにより、VICの確立した国内最大規模の小売チェーンを健全化する計画。また、譲受後には国内最大手の消費財・小売企業が誕生する。
一方、VICは自社ブランドの電動バイク・自動車「ビンファスト(VinFast)」とスマートフォン「ビンスマート(VinSmart)」の製造部門に注力することになる。
ビンコマースの運営するスーパーマーケット「ビンマート(VinMart)」とコンビニエンスストア「ビンマート・プラス(VinMart+)」の小売チェーンは2014年にそれぞれ7店舗、10店舗に留まったが、2019年11月時点では115店舗、2438店舗へと膨らんでいる。
<VICのスーパー・コンビニチェーンの店舗網> 単位:店
小売事業の業績は、2015年売上高が前年の14倍超へと急増、2016年も同2.4倍と大幅な増収だった。2018年が前年比+47%、2019年1-9月期が前年同期比+60%の増収。
<2014~2019年1-9月期におけるVICの小売事業の業績> 単位:十億VND
しかし、急速な規模拡大により2014~2018年の5年連続で赤字となっており、2019年1-9月期も赤字から脱却できていなかった。
今回の情報を受け、MSN株の3日終値はストップ安となった。