国際協力銀行(JBIC、東京都千代田区)は16日、大手国営銀行であるヴィエティンバンク[CTG](VietinBank)との間で、ベトナムの脱炭素化・エネルギートランジションの支援及び日本の中堅・中小企業のベトナム進出支援に係る覚書を締結した。
ベトナム政府は、2050年までのカーボンニュートラル達成と高所得国入りを目標として掲げ、2023年5月に策定された「2021~2030年国家電力開発計画及び2050年までのビジョン(第8期電力計画)」において、経済成長と脱炭素化の両立に向けた方針として移行期電源としてのガス火力発電の活用と再生可能エネルギーの電源構成比率の大幅な引き上げを示している。
こうしたベトナム政府の方針を受け、ベトナム国家銀行(中央銀行)は銀行セクターにおけるグリーンファイナンスへの資金供与を加速させる方針を表明しており、CTGも同様の取り組みに注力している。今回の覚書の締結は、こうしたベトナム政府やCTGの方針に沿った取り組みとなる。
JBICは、2021年6月に公表した第4期中期経営計画において、脱炭素社会の実現及び多国間連携・国際金融機関などとの連携の推進を掲げている。また、2013年にはベトコムバンク[VCB](Vietcombank)とベトナム投資開発銀行[BID](BIDV)との間で中堅・中小企業の海外展開支援に係る覚書を締結しているが、引き続き中堅・中小企業のベトナムをはじめとする海外への事業展開を支援していく。
覚書の締結はこうしたJBICの方針に沿った取り組みであるほか、日本政府がアジアにおけるエネルギートランジションの枠組みとして推進する「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想や、日本政府や米国政府をはじめとするパートナー国とベトナム政府との間で合意された「公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)」の趣旨にも合致するものとなる。