ベトナムを代表する情報技術(IT)最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)はハノイ市で23日、米国のグラフィックスプロセッサ・半導体大手のエヌビディア・コーポレーション(NVIDIA Corporation)との間で、包括的・戦略的協力に関する覚書(MOU)を締結した。
MOUによると、両社は、◇人工知能工場(AIファクトリー)の開発、◇FPTをエヌビディアのサービスデリバリーパートナーとすること、◇人材育成などで協力していく。
AIファクトリー開発で、FPTは2億USD(約310億円)を投じてAI研究開発のためのクラウドコンピューティングプラットフォームを提供するAIファクトリーを建設する。
このAIファクトリーは、クラウドネイティブ・ソフトウェア・プラットフォーム「エヌビディアAIエンタープライズ(NVIDIA AI Enterprise)」やグラフィックチップ「GPU H100 Tensor Core」など、エヌビディアの最新テクノロジーを活用したスーパーコンピュータシステムを設置する。
これにより、FPTの世界中の企業顧客がリソースにアクセスして研究能力を向上させ、AI、特に生成AIの導入速度を加速するGPUクラウドサービスを提供する。これは、FPTによる顧客向けのAIプラットフォームとアプリの開発の加速にもつながるものと期待される。
また、FPTはエヌビディアのサービスデリバリーパートナーとして、自動車技術、製造、金融、銀行、保険の分野の企業にソフトウェア、ハードウェア、クラウドコンピューティングサービス、生成AIソリューションを提供する。両社は「AIラボ(AI Labs)」モデルによるAI研究プロジェクトも拡大していく。
さらに、人材育成の協力では、FPTは、エヌビディアのトレーニングプログラムを高校と大学の教育に導入し、ハイテク人材を育成する。5年間で少なくとも計3万人の生徒・学生が同プログラムにアクセスすることを目指す。
このほか、両社はクラウドゲーミングプラットフォームを通じて、eスポーツコミュニティの開発や、クラウドプラットフォーム上でのデジタルコンテンツの作成を促進することで協力していく。FPTはインフラストラクチャを提供してエヌビディアのクラウドゲームサービス「GeForce NOW」を顧客に提供する。